2012年度は,次世代DNAシーケンサーの優劣が明確になってきた。初代の3種類のうち,米Illumina社の「HiSeq」シリーズなどが一歩抜け出し,米Life Technologies社の「SOLiD」とスイスRoche社の「Roche (454)」は少し劣勢になった。Roche(454)は他の2つに比べ解析長が長いという利点があったが,Life Technologies社の「Ion Torrent」の出現により,脅かされている。解析長という点ではまだRoche(454)の方が一日の長があるが,ランニングコストやデータ生産量で劣るという問題がある。こういった状況の中,Roche社はIllumina社の買収を試みたが,失敗したようだ。SOLiDはIllumina社製品に対する劣勢を巻き返すことができず,Life Technologies社での主役の位置をIon Torrentに譲ることになったようである。



 王者Illumina社に挑戦しているのが,Life Technologies社のIon Torrentと米Pacific Biosciences社の「PacBio」である。Ion Torrentは大規模解析への利用が可能なProton Sequencerを2012年9月にリリースした。また,Pacific Bioscience社のPacBio RSは本格的に稼働しはじめ,その真価が問われようとしている。一方,装置の販売は行わず,受託解析のみを行っていた米Complete Genomics社は,北京ゲノム研究所(BGI)との合弁に合意したという。実質的に中国の北京ゲノム研究所による買収であり,次世代シーケンサーの開発競争から一歩退いたと考えるのが妥当である。



 さらに2011年度から話題をさらっていた英Oxford Nanopore Technologies社がついにナノポアシーケンサーを発表し,その正体が明らかになった。まだ,リリースはされていないが,本年鑑が出版されるころには,販売が開始されているだろう。



 本稿では,まず,主要な次世代シーケンサーの2012年度の動向を紹介し,新しい装置や技術の紹介を行う。(東京農工大学教授 養王田正文)

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